進化論

◆ イブ仮説

 人類学は、進化論の立場から、古い人類の化石の研究を行ない、その結果、世界の各地において現代人への進化が起こったと考えていました。したがって、全人類はアダムとイブから始まったとする創造論とは相容れないものでした。ところが分子レベルから人類の起源の問題を扱う分子人類学において、人類は共通の祖先から生まれたという主張が現れました。
 細胞の中にあるミトコンドリアという小器官がありますが、その中にあるDNAは、両親の遺伝子の混合物である核のDNAとは違い、母親だけを介して伝わり、突然変異でしか変化しません。したがって、ミトコンドリアDNAの変異を比較することによって純粋な人類の系統樹をつくることができるのです。
 ハワイ大学のレベッカ・キャンは、カリフォルニア大学バークレー校のウィルソン、ストーキングと共同で、出産後の妊婦からもらった胎盤を材料として研究を行ないました。彼らは、米国に住むアフリカ系、欧米系、中東系、アジア系の妊婦、147人から胎盤をもらい、ミトコンドリアDNAを抽出して調べました。その結果、現代人のミトコンドリアDNAのもっている変異は、20万年前にアフリカにいた1人の女性のミトコンドリアDNAに由来するという結論に達したのです。この研究の成果は1987年の全米人類学会において発表されて激しい論争を引き起こしました。
 1988年1月、「ニューズウィーク」誌がこれを特集し、その中で次のように書いています。

昨年、アメリカの科学者たちがこのイブを「発見」したと発表するや、おそらく人類学史上最古の論争に、再び、火がついた。人類の起源をめぐる議論である。・・・・・その結果、最大の議論を呼んだのは、現代人は世界各地で一定の過程を経て徐々に進化してきたという、人類学者の通説が否定されたことだ。古代型人類がいわゆるホモサピエンスになる過程は、イブ家という限られた一点において起こったというのである。

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