世界は、どこへ行くのか

はじめに

 人生は一度きりの航海に似ています。その航海は決して平坦なものではなく、荒海を乗り越えなければなりません。いつ何時、不意のあらしに襲われて、難破して海に投げ出されてしまうかも分かりません。
 寄港する目的の定まらない航海には希望も喜びもありません。あるのは不安と恐怖と孤独です。
 人は誰でも何らかの目標をもって生きています。しかし目標は達成されれば消えてしまいます。人はまた次なる目標に向かって航海に出るのです。
 人生の目的とは、永遠にして不変でなければなりません。そしてそれは普遍的でなければなりません。
 そんな真の人生の目的が、果たしてあるのでしょうか。ある人はない、と答えることでしょう。しかしそれがなければ、人は何をたよりに生きるのでしょうか。
 人には人それぞれの生き方があります。人間がその欲望のままに生きるなら、社会は大混乱に陥ります。権力欲と支配欲にとりつかれれば闘争が起ります。個人的な闘争から、民族、国家へと闘争の歴史は拡大されて、人類は二度の世界大戦を経験しました。21世紀の今日も、戦争は止むことがありません。
 栄光と快楽に満ちた人生も、惨めな人生も、人は同じように死を迎えます。いかなる人生も、悲劇でその幕を閉じるのです。
 私たち人間は、自らの意思でこの世に生まれてきたわけではありません。この肉体は両親から生を受けましたが、さらにその元をたどれば、何ものかによって創造されたのです。
 人間には見えない心があります。物質で構成された肉体は滅びますが、無形の心は肉体の死によって消滅するものでしょうか。もしも人間の心が永生するとしたなら、人生の目的は全く違ったものになるでしょう。
 これまでの人生論や幸福論は、限られた地上生活のみを論じたものでしたが、心が永生するなら、その価値観は変わらざるを得ません。
 真の人生の目的が明らかになるなら、それは人間の生き方を変え、世界人類の生きる方向性さえも変えることができます。
  

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