人間のエゴは地球をも破壊する

 科学文明の発達はゆるやかな斜線から、二十世紀に入って急速度に上昇しました。私たにのまわりにあふれている電化製品は、五十年前にはほとんどなかったものです。大量生産、大量消費によって、私たちの暮らしは便利になりましたが、それとともに地球の汚染は深刻です。企業エゴは地球環境よりも、利益を優先するのです。
 地球の温暖化が心配されています。フロンガスはオゾン層を破壊して、有害な紫外線が人体に害を与えています。動物や植物にも、甚大な被害を与えているのです。食品会社はより色がよく、香りがよく、おいしいと感じられ、しかも腐敗しない食品を製造しなければ売れません。そのために多くの化学物質が使用されています。およそ化学物質で、まったく無害なものはないということです。有害な化学物質に取り囲まれて、スイッチを押せば何でも取りだせる生活が、果たして幸せでしょうか。
 人類はかけがいのない地球の汚染に、手をこまねいているわけではありません。日本も一時は公害が心配されましたが、工場の煤煙はおさまり、川には魚が戻ってきました。しかしやはり車の排気ガスは健康を損ない、食品も安心して食べることができません。
 地球環境は一企業や一国家だけでは、守ることができません。人類全体の問題です。しかしアメリカは自国の利益を優先して、京都議定書を拒否しています。先進国は既得権を守ろうとするし、後進国は自国の権利を主張してゆずりません。人類共通の利益よりも、企業エゴ、国家エゴが優先するのです。
 限りある地球資源を無制限に消費して、大量に物を生産して、大量のごみを廃棄しているなら、やがては資源を使いつくして地球を汚染し、ついには人も動物も住めない地球になってしまうのです。
 歴史上には一時は繁栄し、やがて消滅していった古代の謎の王国があります。彼らは森を資源としていました。森をエネルギ−源とし、森を焼き払って田畑として暮らしていました。やがて森は消え、土地は不毛の砂漠となり、人が住めなくなって王国は消滅したのです。現代のエネルギ−源は石油です。しかし石油もやがては枯渇するのです。
 資本主義は物本主義、物だけがすべてという唯物論的な社会になってしまいました。物欲には限りがありません。資本主義は成長しつづけなければ破綻してしまう社会です。限りある物を人間が奪い合っているなら、人間のエゴは地球をも破壊してしまうのです。
 しかし物だけでは人間の心は満たされません。「心の時代」とはいわれていますが、それは遠い憧れのようなものであって、現実の人間社会は資本すなわちお金に支配され、お金に振りまわされているのです。金が仇の世の中です。しかし生涯の最後の時になって、もっとお金を貯めておけばよかったと後悔する人がいるでしょうか。

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