真の人生の勝利者

兄弟の愛

親の愛は縦的な愛ですが、兄弟姉妹の愛は横的な愛です。社会に出てからの人間関係を学ぶうえで、兄弟姉妹の愛を体恤することは重要です。
 兄は弟をいたわり、弟はまた兄を手本に成長するのです。ここに家庭における長幼の秩序が生まれます。兄弟はけんかもするでしょうが、それによって体も鍛えられ、心も錬磨されるのです。兄弟の間に育まれた愛が、学校や社会では男同士の友情になるのです。姉妹の場合も同様です。
 兄妹の関係はまた違います。異性を意識するようになり、異性との接し方を学ぶのです。兄妹の間に育まれた愛情は、やがて結婚したときに円満な夫婦の愛の関係に発展するのです。
 家庭は愛の学校です。兄弟姉妹の関係において、愛を学ぶのです。愛することは相手のために生きることです。家庭において最もために生きた子供が、家庭の中心になるのです。そのような愛の関係が社会に拡大されたなら、最も犠牲になり、最もために生きた人物が社会の中心になり、国家の中心になるのです。
 兄弟姉妹の愛を知らない子供は学校に上がるようになると、とてもとまどうのです。私の場合もそうでした。上の姉が生まれてから十五年も経過して、ひょっこり私が生まれたものですから、物心つくころには姉たちはお嫁に行っていました。両親や周囲の大人たちの愛情はたっぷりと受けて育った私は、大人に愛嬌をふりまくすべは知っていたのですが、子供同士の接し方を知りませんでした。やがて小学校に上がるようになると、とてもとまどったのです。学校が怖かったのです。うちでは活発で明るい子が、学校ではとても内気でおとなしい子供になってしまいました。そんな子供がいじめに遇えば、登校拒否からひきこもりになっていたかも知れません。
 少子化は教育の面でも問題があります。一人っ子を溺愛する家庭ではマザコンになったり、ひきこもりになったり、あるいは突然に家庭内で暴力を振るうようになったりするのです。兄弟げんかも知らないで育った子供は、節度というものが分かりません。殴られたことのない子供には、痛みが分かりません。ですから取り返しのつかない事件も起こってしまうのです。

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