神様は人類の真の父母

新しい世界のパラダイム

さてそれでは、十年後に実現すべき理想世界とは、どのような世界でしょうか。
 「天の側の社会主義を指向する人間の本心は、結局、共生共栄共義主義を主唱し、神の創造目的を完成した理想世界をつくるところまで行かなければならないのであるが、この世界が、すなわち、再臨されるイエスを中心とする地上天国なのである」と「原理講論」(五〇七頁)に書かれています。
 「共生・共栄・共義主義」とは文先生の神主義を、経済、政治、倫理の三つの側面から表したものです。共生主義は資本主義の次に来る経済体制であり、共栄主義は民主主義の次に来る政治体制であり、共義主義とは神の創造目的を中心とする神主義の思想です。
 ではまず「共義主義」から考えてみます。善と悪の基準を人間におくなら、主義・思想が代わり、権力者が代われば善と悪の基準が変わります。宗教や思想、価値観の違いから人間は有史以来、闘争をつづけてきました。
 「神様王権即位式」以後、神様の主権が地上に立ちました。神様が人類の真の父母であることが、誰の目にも見える太陽のように明らかになるのです。人間は古来から、昇る朝日に手を合わせて拝んできました。太陽のエネルギ−によって、人間は生かされていることを知るからです。素朴な信仰心の始まりです。太陽は唯一であり、絶対的であり、永遠であり、その熱と光はあまねく地上に降り注がれています。
 霊界の上流層では、まぶしいほどに光があふれていました。霊人たちが霊界で永世できるのは、霊界の光体によるエネルギ−ではないでしょうか。その波動は地上にも、あまねく降り注がれているのです。すべてが二性性相によって存在しているという原理原則からすれば、霊界の光体が性相であり、太陽はその形状です。神様の形状の形状の形状が、太陽であるという理論は、間違いではないと思います。
 素朴な太陽信仰には理論がありませんが、統一原理は二性性相の神を理論的に証明し、神様の創造目的を明らかにしました。神様は愛する対象として、人間を創造され、それに先立って自然と万物を創造されたのでした。神様は愛するために投入し、投入し、すべてを投入されたのでした。
 「神様は人類の父母」という大主題の下に霊界の宗教圏が一つになったように、地上界の宗教の壁もなくなり、宗教戦争は終わるのです。宗教そのものが、必要のない時代になるでしょう。
 人間による思想の闘争も終わるのです。神主義を越える思想は有り得ません。善悪の基準が、唯一絶対的な神様におかれるからです。神の創造目的を成就する行為や結果が善であり、その逆が悪です。その善の目的にかなう生活的要素、つまり「ために生きる生活」が義であり、その逆が不義です。
 神様は人類の真の父母であり、人類はみな兄弟姉妹です。ここに民族の争い、人種の争いも終わります。人類は神主義による共通の価値観によって一つになり、すべての闘争は終結するでしょう。
 文先生のなさる「祝福」の多くが、交差祝福です。国が違い、民族が違い、人種が違い、言葉も違う怨讐同士が「祝福」を受けるのです。聖職者の祝福では、キリスト教徒とイスラム教徒が「祝福」を受けました。神様は人類の父母であり、人類はみな兄弟姉妹という、共通の価値観がなければ不可能なことです。「祝福」は人類一家族の理想を実現する最短の方法ではないでしょうか。
 「共栄主義」とは、政治的な概念をいいます。民主主義は兄弟主義であって、兄弟は常に争うのです。国会では与党と野党が争い、派閥による政争が絶えません。国民の代表は選挙によって選ばれるのが民主主義ですが、民意が政治に反映されているでしょうか。選挙には莫大な選挙資金が必要です。政治家の金権体質が政治をゆがめ、あらゆる腐敗堕落が起こるのです。民主主義は愚衆政治になりかねません。
 理想社会は兄弟主義ではなく、天父主義です。神主義によって方向が一定していれば、政策というものが必要ありません。また選挙戦というものもなくなります。その地域なり団体のために最もつくした人が、代表者に推薦されるのです。あるいは厳粛な場において、抽選によって決定されるというのです。理想社会においては、公金の私的な流用が最も重い罪となりますから、政治の腐敗はなくなるのです。
 すべての人が霊界の実相を知るようになれば、犯罪を犯そうとしても犯すことができません。警察官はその任務が犯罪の摘発から、地域への奉仕に変わるでしょう。裁判官や検事、弁護士の必要もないような、互いのために生きる社会が理想社会です。
 世界平和のための障壁が、国境の壁です。渡り鳥は自由に国境を越え、魚は世界の海を自由に泳いでいます。自然万物に国境はありません。国境とは、国家エゴがつくりだした壁です。政治家は自国の国益を越えることができず、莫大な軍事費を投じて国境の壁を守っています。
 文先生は「世界平和超宗教超国家連合」を創設され、「国境線撤廃」を宣布されました。国境の壁がなくなれば、国家という概念から、地域ブロックになるでしょう。すでにヨ−ロッパ共同体が成立しているように、南北アメリカブロック、アフリカブロック、アジアブロックという地域ブロックになるのです。国境線を撤廃して自由に往来するためには、交通網が整備されなければなりません。
 文先生は一九八二年、「国際ハイウエ−構想」を提唱され、「日韓トンネル」の建設を提唱されました。アジアが一つに結ばれたとき、日本が孤立しないためです。
 理想社会は人体構造に似た社会です。肺は立法府であり、心臓は司法府であり、胃は行政府にたとえることができます。神経組織が通信網やインタ−ネットでしょうか。人体の器官は有機的に結びついていて、不必要なものがありません。どこかが痛んだり、病んだりすれば、人体は自然に治癒する作用をします。小指の爪一枚が剥がれても、人間はあらゆる手当てをするのです。人間のエゴは人体でいえば、がん細胞のようなものです。
 最後に残るのが経済問題です。地上の人間が肉身をもって生きている以上、物質生活を無視することはできません。共産主義は物質を平等に分配する社会を目指したのですが、うまくゆきませんでした。資本主義は自由競争による社会ですが、人間がエゴと欲望を自由に発揮しようとすれば社会に歪みをもたらし、貧富の格差が不平不満と争いの原因になるのです。人類一家族の理想実現のためには、世界が平準化されなければなりません。
 資本主義の次に来る社会が、「共生主義」社会です。「共生主義」とは何かを考える前に、まず物質とは、万物とは誰のものか、ということを考えてみなければなりません。

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