神の実在と霊界の実相・霊界の聖人たち

パウロの改宗

パウロは主なる神の家に住むようになってから、「使徒パウロ」という名前に苦しい思いをしていました。地上の生涯があまりにも恥ずかしく、驕慢でうぬぼれていたという心の痛みに、耐えることができなかったのでした。
 神は創造主であり、神の神性や無限なる能力は理解していても、神が人間の親であり、父母と子女の関係ということは想像もしてみなかったのです。神という大きな存在の前に、人間は虫けらのように小さな存在であるために、ただ頼って生きるしかないと認識し、そのように教え、そのように生きてきたのでした。そして永遠の世界の実相を、全く理解できなかったのでした。新約の手紙がすべて、誤っているというのではありません。それは限りなく部分的に見たものです。「復活のイエス様だけを信じてついてくればすべてが救われる。天国は私たちの家である」と考えているならもう一度、謙遜な姿勢に帰らなければなりません。
 「聖徒の皆さん! パウロをお許しください。万軍の主、神様は私たち人類の父母でいらっしゃいます。ここ主、神様の家で徹底的に悟り、徹底的に悔い改めながら、地上の聖徒たちに伝達することのできるこの機会を通して、本当にあらん限りの精誠と真実を尽くして手紙を伝えます。長い手紙であっても、詳細に読んでいきながら、深く肝に銘じる部分が何かを考えなければなりません」
 パウロは悔い改めの日々を送っていたのですが、困難が降りかかるたびに、神様は忽然と一筋の光として現れるのでした。そしてこう言われたのでした。
 「あなたは主なる神の家で、主なる神が立てた新しい真理の前に改宗しなさい。ここが主なる神の殿堂である」
 「主なる神様、パウロの御父母様、なぜですか」とパウロは泣き、叫んだのでした。
 パウロは地上で復活のイエス様に出会って回心したのでしたが、ここでは主イエスを探さずに、主なる神を探せと冷酷に言われるのでした。そしてまた主イエスも離れ、神様も離れたのに、改宗とは何のことでしょうか。新しい真理とは何のことでしょうか。
 すると突然、人波が押し寄せてくるのを感じました。いつもパウロを導く神の光が、こちらではなく、遠くに離れている人々をぐるぐると取り巻いているのでした。
 多くの人々が集まっていました。聴衆はとても静かで、みな深刻に丁重に何かを聞いているのでしたが、パウロには一言も理解できませんでした。
 「新しい真理は新しく人間を改造させます。新しい真理を私たちは謙虚な姿勢で受け入れなければなりません」という言葉がパウロの耳に響いてきました。
 「新しい真理とは何ですか。教えてください」と頼むと、その人は「毎日ここで講義をするので参加してください」と言うのでした。
 パウロの心は複雑でした。新しい真理とは何であるのか知りたいのですが、神様と別れることだけはないことを願いながら、孤独で寂しい心をなだめてみるのでした。
 パウロは慕わしい神に出会うことを期待しながら、講義の場に向かいました。多くの人々が集まっているのですが、神も講師の姿も見えませんでした。そのまましばらく待っていると、あっという間にパウロは、説教台の前に置かれていたのでした。そして神の声が耳うちしました。
 「パウロはきょう、証しなさい。ここの多くの人の前で、自らをさらけ出して話しなさい」どうしていいか分からずにただ立っていると、一人の男性が自己紹介をしました。
 「私は李相軒です。先生の証を、ここですべての人々にお話ください」その人物は一言頼んだあと、とても丁重に、むしろ冷やかな態度でじっと座っていました。どのように話せばいいのか、パウロは心のうちで祈りました。するとあちこちから声がしました。
 「パウロ先生、おいでになったことを歓迎します。お話ください」彼が使徒パウロであることを、みな知っているのでした。
 そこでパウロは、これまでのことを語り始めました。そして「開拓地よりもむごたらしい地獄にも行くでしょうが、神と別れるような改宗はできないのです」と泣き、「助けてくれ」と言ったのでした。すると聴衆からも泣く声がしました。李相軒と名のる男性が言いました。
 「パウロ先生! 主なる神とも、主、イエスとも永遠に共に生きてゆくことのできる所に案内しますから、私を信じてついてきますか」
 「パウロはあなたを知らないのに、どうしてついていきますか」
 「パウロ先生は神の子女でしょう。李相軒も神の子女です」
 すると主なる神はきらびやかな光で二人を包みながら、言われたのでした。
 「パウロよ! 李相軒に従って教えを受けなさい。恐れてはならない!」
 時が流れて、パウロの心が整理されたころ、李相軒という人ともう一人の男性が訪ねてきました。彼は丁重に言いました。
 「使徒パウロ先生! どうして私がパウロ先生を導くことができるでしょうか。しかし神様の命令ですから、そのみ意に従ってここに来ました」彼はあたりを見回わすと、「メシヤ降臨とその再臨の目的」というタイトルをつけて、講義を始めたのでした。
 講義を聴くパウロは、全身が火の中に入ったような気分になりました。すべてが初めて聞く内容であり、目を丸くしてしまいました。講義というものにはなじみが薄く、驚くばかりで質問も出ませんでした。ただ講義の初めから、神様の温かい光が李相軒先生の回りを包んでいるのでした。その恍惚とした情感だけは、忘れることができませんでした。
 「原理と師に関する話をしてください」李相軒先生に次に会ったとき、パウロは言いました。彼は黙ってしばらくしてから、一冊の書物を差し出して、「この本について研究して、祈祷して、パウロ先生の使命を探してください」と言ったのでした。
 パウロは書物を受け取る瞬間、「これでパウロは生き返った」という安堵感を覚え、神様の懐に抱かれたような平安な気持ちになったのでした。
 パウロは「原理教本」を読み始めました。魔力に引き寄せられるように、本のペ−ジをめくりました。すると神秘的なことが起こりました。本を読むのではなく、その内容が映像となって現れるのです。「主、イエスよ、どういうことなのでしょうか」とイエスに問うと、「あなたはイエスを信じてついてきたので、これからは偉大な師を信じて従わなければなりません。あなたが胸に抱いているその本は、偉大な師が天の秘密を明らかにしたものです。あなたの使命を果たしなさい」と語り、イエスは消えてしまいました。
 地獄の現場に、サタンがうじゃうじゃとしていました。その中に一人のお方が、立ち上がっていました。目も耳も口も、血と汗と泥にまみれた姿でした。あちこち引き裂かれ、踏まれてやっと立っているような姿です。その片手には、「原理教本」が握られていました。それはよく見ると、本の表紙と同じ人物でした。
 パウロは李相軒先生を訪ねました。そして瞬間的ではあるが、「原理教本」を通して師に会った体験を話しました。彼はとても深刻な表情で、「その師は地上で人類の平和と救いのために、殉教者の心情で生きておられます」と言ったのでした。
 「では本を片手に握って、血だらけの姿でパウロを抱いてくださった方が、正にメシヤだというのですか」とパウロが興奮して言うと、李相軒先生はうなずいて彼の手を握りしめるのでした。
 パウロは聖徒たちを探し出すために、祈祷しました。再臨のメシヤに出会ったことに感謝し、自分の生涯が虚しいものではなかったことを感謝したのでした。次に訪ねたとき、李相軒先生は彼は言いました。
 「聖徒たちを探す前に、メシヤ、救世主の人生をもう少し知るべきではないでしょうか。まずパウロ先生がメシヤ、救世主を体験し、会ってみなければなりません」
 「メシヤに会うことができるなら、どんな困難も克服します。地獄にでも行きます」
 すると李相軒先生はどこかに、静かにパウロを連れて行きました。
 そこがどこか分かりませんが、場内が華麗な明かりに変わり、多くの善男善女が敬虔な姿で祈祷していました。きらびやかな光の中から、一双の夫婦が静かに歩いてきました。途方もない光彩に包まれていて、見つめることもできません。
 話の内容は分かりませんが、その方の口からも顔からも不思議な光が出ていました。さらに驚くことに、神の一筋の光が場内をあまねく一回りすると、その夫婦をすっぽりと包んでしまいました。
 「あの光の中の夫婦がメシヤであり、真の父母でいらっしゃいます。そのお方のお名前は『文』の字、『明』の字、『鮮』の字であられる文鮮明先生です。人類のメシヤ、救世主として来られた方であられます」と李相軒先生は教えてくれました。
 多くの善男善女がメシヤを主礼に迎えた祝福行事に、パウロは感激し、感動して、またうらやましく思ったのでした。「もう少し遅く生まれていたら」という無念の思いはありましたが、パウロはもう一度心を整え、「もう後悔はしない」と誓ったのでした。
 「再臨の主、メシヤが来られました。そのお方の名は文鮮明先生です。私たち人類の父母であり、真の父母でいらっしゃいます。聖徒の皆さん、使徒パウロの証によって、再び目覚めてください。主、イエスも、再臨のメシヤに侍れと教えてくださいました。聖徒の皆さん、パウロに従ってください!」

 以上が「霊界から来た・使徒パウロの手紙」の内容です。要約すると教派の宣伝文めいてしまいますが、どうか各自が精読して、パウロ先生のように祈祷されることを切に願うものです。

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