神の実在と霊界の実相・霊界の聖人たち

驚くべき霊界からの通信

李相軒先生の霊界通信が初めて寄せられたのが一九九七年三月二十四日、すなわち先生の昇華式の夜でした。以来二〇〇二年の今日まで、霊界からの通信が続々と送られています。それらの内容がまとめられて、一九九八年四月に「霊界の実相と地上生活」として出版されました。以来今日まで、李相軒先生の霊界通信は十二巻を数えます。現在も引きつづき霊界通信が送られていますから、さらに続編が期待されます。
 霊界からの通信がこれほど長期間にわたって大量に、組織的に送られてきたのは人類史上初めてのことではないでしょうか。しかも物珍しさや興味本位の内容ではありません。人間の生き方を根本的に変えるような、地上生活に革命をもたらす爆弾のような威力を秘めているのです。
 これまでの哲学、思想、あるいは人生論、幸福論は地上生活に限定された内容でした。霊界における永生という問題に正面から取り組んだ哲学、思想はなかったのではないでしょうか。これまで論じられた人生論は、実は片面の人生に過ぎなかったのです。
 宗教にしてもそうです。釈迦は唯一の創造主を認めず、霊界についてはあるともないとも明言しませんでした。仏教には地獄、極楽の思想はありますが、霊界を認めない宗派もあり、明確ではありません。
 孔子はどうでしょうか。霊界はあるのかないかと問われて、「この世のことが分からないのに、あの世のことが分かるだろうか」と答えています。孔子は家庭、社会、国家における人間の規範生活については教えましたが、神と霊界についてはやはり明確にしませんでした。天とは天の道であり、人間の本心や良心の方向性を示す善の象徴です。孔子も父としての人格神は明らかにしませんでした。
 イエスは神を父と呼び、父子の関係を明らかにしたという点で、キリスト教は代表的な宗教となりました。イエスは霊界が見えた人だと思うのです。しかし霊界については、詳しくは語りませんでした。
 「わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか」(ヨハネ三・一二)イエスは語ることができなかったのです。
 「わたしの父の家には、すまいがたくさんある」(ヨハネ一四・二)と言われているのを見れば、イエスは広大無辺の霊界を見ていたのです。イエスの癒しについては誇張された部分もあるでしょうが、そのほとんどが悪霊を追い出すという癒しです。李相軒先生の霊界通信によれば、人間の病気の七、八十%は悪霊による現象であるということです。
 霊界と地上生活の関係について、イエスは一つのたとえ話をしています。ルカの第一六章にある「金持ちと乞食のラザロ」の話です。
 毎日ぜいたくに遊び暮らしている金持ちがいました。その門前にラザロという全身でき物でおおわれた乞食がいました。やがて二人とも死んで霊界に行きました。金持ちは火炎地獄でもだえ苦しむのですが、ラザロはアブラハムのふところに抱かれています。
 アブラハムは言います。「あなたは生前よいものを受け、ラザロの方は悪いものを受けた。今ここではラザロは慰められ、あなたは苦しみもだえている。しかしわたしたちの間には大きな淵があって、こちらから渡ることも、そちらから越えて来ることもできない」 「父よ、ではお願いします。わたしには五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所に来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです」
 このイエスのたとえ話は一つの比喩として考えられ、文字通りに受け取るクリスチャンは少ないでしょう。霊界そのものを否定する教派もあります。しかし李相軒先生の霊界通信をよく読んでみますと、このイエスのたとえ話は、霊界の事実を語っているように思えるのです。そのような内容が、霊界通信にはいろいろとあるのです。
 私たちの人生、この限られた地上生活は、実は霊界への準備の期間に過ぎないのです。マラソンでいえば折返点です。あるいは肉身の死は、霊界生活のスタ−トラインに立つことであるのです。
 「永遠の霊界があるということを忘れずに、地上にいるうちに準備するように」ということが、霊界からのメッセ−ジの結論の常であるのです。
 霊界を信じないという唯物論者であっても、自分は死なないという人はいません。誰もが遠からず死ぬのです。目が覚めて明日、生きているという保証はありません。たとえばニュ−ヨ−クのテロ事件のために、突然に亡くなった人たちはどうなるでしょうか。遺族の方には申し訳ありませんが、李相軒先生はこのように伝えています。
 「皆さん! ニュ−ヨ−クのテロ事件のために、準備することもできずに数多くの霊魂たちが避難民の姿でこちらに集まってきました。彼らの霊魂を考えてみてください。そして皆さんの霊魂は来世にどこへ行くのか、その場のために準備してください」(二〇〇一年十二月十二日の通信)

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