私はどこへ行くのか・天宙を貫く大法則

宇宙には意思がある

真の人生の目的を知るには、被造物である人間の側からのみ知ることは難しいのです。万物と人間を創造された創造主がいるのかいないのか、これが問題です。人間は人種や地域、時代を超えて、心に神や仏という存在を求めてきました。素朴に太陽を拝み、高い山を仰ぎ見て、心の拠り所を神仏に求めてきたのです。
 人間には邪悪な心があると同時に、善なる心があります。わが子をさえいじめ殺す親がいるかと思えば、見知らぬ人のために命を投げ出して救うという、崇高な行為をするのが人間です。人間は自己中心であると同時に、自己犠牲的な行為をする両面性をもっています。多くの宗教が利他主義を唱え、慈善を徳としています。一神教と多神教を問わず、人間の本心が善を希求している証拠です。
 宗教教理が人間の自由を束縛したり、科学的な事実を否定したりしてきた歴史があります。地動説を唱えたガリレオ・ガリレイは、聖書の記述に反するという理由で地動説の撤回を迫られました。「それでも地球は回る」と言ってガリレオは裁判所を出たのです。
 科学の発達は、宗教的な教理としばしば対立してきました。神や霊界という曖昧模糊とした、科学的には解明することができない存在は、否定されるかに思われました。そしてついには、神はいないという思想が生まれました。唯物論思想です。共産主義は科学的社会主義ともいいます。神を否定すれば、人間の本心も否定することになります。本心に基ずく善悪の価値判断から、唯物論思想に基ずく価値判断へと移行するのです。唯物論思想が神なき宗教といわれる所以です。
 唯物論でいう科学的とは、実は十八世紀から十九世紀の、ニュ−トン力学による科学であったわけです。しかし人間の意識がこの地上から宇宙へと拡大されてゆくと、ニュ−トン力学では収まらなくなってきました。アインシュタインの相対性原理が登場することによって、それまでの科学的な常識は覆されてしまったのです。
 さらに現代の最先端の科学はどうでしょうか。不気味と言われる量子物理学が登場しました。物質の存在そのものが、疑わしくなってきたのです。どうも影の世界があるらしいというのです。少なくとも科学的に、否定することができないのです。最先端の物理学が到達した地点と、古来からの神秘的な仏教思想とが合致しているという事実に、学者たちは驚きを隠さないのです。
 遺伝子の解明が進むにつれて、創造の神秘が明らかにされてきました。生物の遺伝子は二重らせん構造による暗号によって形成されているのです。人体の設計図はすべてDNAに書かれているというのです。そして驚くべきことに、それは二進法の数学に基づいているそうです。コンピュ−タ−の原理と同じです。神は精巧なコンピュ−タ−を駆使して、万物と人間を創造されたのです。
 この宇宙、自然万物がどれほど巧妙に造られていることでしょうか。物理学に「エントロピ−の法則」があります。インクの一滴が水に広がるように、時がたつにつれて分散して風化し、汚れてゆくという法則です。しかし自然万物は永遠に調和を保っています。自然環境を破壊しているのは人間ですが、破壊をやめれば自然は元に戻るのです。自然には治癒力があるのです。
 人類が宇宙に飛び出すことによって、宇宙の神秘が次第に明らかになってきました。真空とは何もないことと思われていたのですが、真空とは必ずプラスとマイナスの存在をペアで造りだすことのできるゼロの状態だというのです。宇宙には凄いエネルギ−が秘められているのです。
 科学と宗教は対立する歴史をたどってきましたが、科学からのアプロ−チによって、創造主の存在が明らかになる時代になりました。宗教には一神教があり、多神教があり、自力信仰があり他力信仰があり、同じ一神教であってもエホバであったりヤハウエであったりアッラ−であったり、神観の相違から互いに争っているのが現状です。しかし神が太陽のように誰の目にも明らかになるなら、宗教間の争いもなくなり、宗教の必要さえなくなるでしょう。
 宇宙には意思がある、と考える科学者が多くなってきました。そのような書物が数多く出版されています。宗派を超えて神の実在が明らかになるとき、宗教と科学は統一され、唯物論と唯心論の論争は終わるのです。父なる創造主の下における兄弟姉妹として、人類一家族として、世界人類に本当の平和が訪れるのです。
 しかし残念ながら私たち凡人には神を見ることも、声を聞くことも、神を感じることもできません。ですが見えないものがないとはいえないことは、私たちのよく知るところです。心も愛も、空気も酸素も目には見えませんが、なければ大変です。
 見ないで信じるのが信仰かもしれません。しかしそれでは妄信や迷信に陥りがちです。修道者のような難行苦行は、普通の人にはできません。ではどうしたら創造主、父なる神の存在を知ることができるのでしょうか。

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