神の実在と霊界の実相・霊界の聖人たち

エバの告白

神は人間の創造に先立って、天使界を創造されました。人間は神の子女ですが、天使は万物であり、人間に仕える霊です。孔子やパウロが霊界に行ったとき、きらびやかな服装をした女性、あるいは男性が現れましたが、あれが天使です。地上界ではイエスの母マリヤに、天使が「処女懐胎」を告げています。
 天使は神の使いとして、神の万物の創造に寄与したのでした。そして神の子女であるアダムとエバが誕生したとき、彼らのいわば教育係となったのが、天使長ル−シェルであったのです。ル−シェルは知恵の天使長であり、神の右腕として、神の愛を一身に受ける存在であったのでした。しかし神の子女であるアダムとエバが誕生してからは、神の愛は子女により多く注がれるようになりました。
 天使には比較する知恵と、欲望が与えられていました。ル−シェルに対する神の愛は変わらないのですが、アダムとエバに対する神の愛がより一層大きいとき、ル−シェルは愛の減少感を覚えたのでした。嫉妬心が芽生えたのです。いつしか僕としての自己の位置を離れてエバを見るとき、ル−シェルはエバの美しさに引かれていったのでした。そしてエバを奪い、アダムの位置に立ちたいという欲望を抱くようになったのです。ル−シェルは蛇のように、そっとエバに近寄ったのでした。
 エデンの園ですくすくと成長するアダムとエバは、自然と万物を友とし、神とも自由に会話することができました。教育係である天使とは、肉体のあるもののように接することができたのです。それは天上界と地上界がまだ、分離する以前の物語であったのです。
 李相軒先生の観察によれば、エバは大変な美人ではないが、とても整った顔をしているそうです。いつも穏和ではありますが、近くで話そうとすれば顔をそむけ、うつむいたりして、視線を合わせることをとても嫌がるのでした。
 しかしやがてエバは、「私の過ちを再び申し上げる必要はありませんが、打ち明けます」と言って話し始めたのでした。
 アダムとエバはいつも一緒に食べて、寝て、暮らしていました。まだ幼く、夫婦になるということが分かりませんでした。アダムは走り回って、外で遊ぶことが好きでした。エバは静かに座って、万物と共に楽しんで過ごすことが好きでした。二人は兄妹の関係として、互いに異性を意識することはありませんでした。ところがエバに、異性の目を開かせる者が現れたのです。それがル−シェルでした。
 ル−シェルはいつもエバのそばを離れず、エバを連れ回り、食べたい物を持ってきてくれ、何かと細やかに教えてくれるのでした。やがてエバはル−シェルに、異性を感じるようになりました。ル−シェルがエバを、異性として愛したからです。
 ル−シェルはついに僕としての位置を離れ、神の娘であり、神の妻ともなるべきエバと愛の一線を越えてしまったのでした。エバも次第に熱い愛におぼれるようになり、生理的にル−シェルを放すことができなくなりました。しかしル−シェルは神を恐れ、エバも不安と恐怖に耐えられなくなってきたのでした。
 ある日、神様から雷が落ちました。そばにいる資格がないと、エバはしかり飛ばされたのでした。エバは自分の行動の過ちを悟りました。もう一度、神に帰りたいという必死の思いから、エバはアダムを求めたのでした。私を助けてくれと必死に、アダムに取りすがったのです。こうしてエバはル−シェルから習ったとおりに、アダムとも一緒に寝るようになったのです。エバはアダムとも肉体関係をもったのですが、ル−シェルほど熱い熱情は起こりませんでした。ですから心ではル−シェルを恋しがり、そのたびにル−シェルは猛烈な目つきで誘惑してきたのです。そしてエバも我慢することができず、ル−シェルの懐に抱かれるようになったのでした。
 時がたつほどにエバは神様の怒りが恐ろしく、不意に襲ってくる恐怖感に耐えることができなくなりました。アダムのそばに行けば、ある安心感が感じられるのでした。ル−シェルのそばに行くだけで恐ろしくなり、アダムに対する罪悪感にとらわれるのでした。
 アダムはエバを慰めましたが、エバは神様に救いの手をのばして欲しいと哀願することもできず、罪の意識にさいなまれる生活だったのです。
 「蕩減期間が過ぎて、神様が私を再びここに呼んでくださったのですが、私は耐えがたい犯罪者です」と結んで、エバの話は終わりました。
 アダムとエバは神様の近くで、共に暮らしているそうです。神様の胸を傷めた罪の張本人である彼らが、どうして解放されたのでしょうか。地獄まで解放される喜びの日が来なければ、肉身をもった人間が、地上の苦痛から抜け出すことができないからです。
 「今、地上の真の父母の家庭において、アダム家庭に代わって蕩減条件が立てられたので、それを条件にして、アダム家庭は解放されました。アダム家庭が解放されることで、すべての罪悪の門が開かれ得る基盤が立てられたのです。いつかは、地獄の門が開かれて、永遠の解放の日が来るでしょう」と李相軒先生は伝えています。

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